オフィスの移転にかかる期間は? スケジュールや成功のためのポイントを解説!
オフィスの移転を検討し始めたとき「実際どのくらいの期間がかかるのだろう」と不安に感じる方は多いでしょう。移転は契約や設計、引っ越しなど多くの工程を伴うため、想定以上に時間がかかるケースがほとんどです。
本記事では、オフィス移転にかかる一般的な期間の目安をはじめ、スケジュールごとの主なタスク、そしてスムーズに進めるためのポイントを解説します。移転計画を立てる際の指針としてお役立てください。
目次
オフィスの移転にはどのくらいの期間かかる?

オフィス移転にかかる期間は会社の規模により異なりますが、一般的に6カ月前後が目安とされています。中小企業の場合は半年ほどで完了するケースが多いですが、規模が大きい企業や拠点数が多いプロジェクトでは、1年以上を要する場合もあります。
移転スケジュールは移転予定日から逆算して立てるのが基本です。例えば半年後の移転を目指すなら、10〜12カ月前には準備を始めておくと安心です。準備期間が短過ぎると、物件探しやレイアウト設計、業者の手配などが間に合わず、業務に支障を来す恐れがあります。
また早めに計画を立てることで、内装や家具選定の自由度が高まり、理想のオフィスを実現しやすくなります。特に繁忙期(3月・9月)は引っ越し業者や工事スケジュールが混み合うため、余裕を持った計画が重要です。
オフィスの移転のスケジュールとやるべきこと
オフィス移転は、準備・設計・実行の各フェーズに分けて進めるとスムーズです。フェーズごとに行うべきタスクが異なるため、全体像を把握した上で段階的に進めることが大切です。
ここからは、移転の約1年前から半年後にかけて、時期ごとの主な準備内容を紹介します。
移転10~14カ月前にやること
オフィス移転の初期段階では、まず「なぜ移転するのか」という目的と方向性を明確にすることが重要です。老朽化への対応、拡張、コスト削減、働き方の見直しなど、目的を具体化することで判断軸がぶれにくくなります。
次に、プロジェクトチームの立ち上げを行います。経営層や総務担当、各部門の代表者などを中心に、役割分担を明確化しましょう。誰がスケジュールを管理し、誰が業者と交渉するのかを定めることで、意思決定が迅速になります。
その上で、移転完了日から逆算したマスタースケジュールを作成します。物件探し、設計、契約、引っ越しといった主要工程を洗い出し、全体の流れを可視化しておくことが大切です。
この時期には、物件選定にも着手します。複数の不動産会社に条件を伝えて候補を出してもらい、立地・面積・コスト・設備条件を比較検討します。候補を絞り込んだら、賃貸条件の確認や仮押さえを進め、契約準備に入るとよいでしょう。
同時に、設計会社や内装業者、引っ越し業者など外部パートナーの候補も検討します。初期段階で相談を始めておくと、全体設計の整合性を取りやすくなります。
この時期の動きが遅れると、後工程が圧迫されるため「早めのスタート」こそが成功の鍵です。
移転6~9カ月前にやること
この時期になると、移転計画が具体化し、実務的なタスクが本格的に動き始めます。まず重要なのが、新オフィスの設計・レイアウト計画です。ゾーニング(執務・会議・休憩などのエリア分け)や動線設計を行い、社員が快適に働ける空間づくりを進めます。同時に、什器や設備の選定も進めましょう。
次に、現オフィスの解約通知と原状回復の確認を行います。多くの賃貸契約では退去通知が6カ月前に必要とされるため、早めの連絡が欠かせません。原状回復の範囲や費用負担は契約内容によって異なるため、賃貸借契約書を確認しておくことが重要です。
さらに、移転先の最終決定と契約締結を行います。立地条件やコストだけでなく、入居時期・工事可能期間・インフラ環境など、実務面も含めて総合的に判断しましょう。
不要な備品や書類の整理・廃棄もこの時期に着手します。不要物を早めに処分しておけば、引っ越し作業の負担を軽減することが可能です。
最後に、全体の移転計画案(工程表)を作成します。各工程の担当者やスケジュールを整理し、関係部署と共有しておくことで、社内の認識をそろえられます。
この6〜9カ月前の期間は「現実的な行動に移す時期」です。早めの判断と連携を心がけることで、後の工事や搬入スケジュールをスムーズに進められます。
移転3~5カ月前にやること
この時期は、オフィス移転の計画が本格的に動き出す重要な段階です。レイアウトやデザイン、業者契約などの手配を確定させ、社内外への周知準備も進めていきます。全体の流れを整えることで、移転直前の混乱を防げます。
まず、新オフィスのレイアウトと内装デザインを最終決定します。執務スペースや会議室、エントランスなどの配置を確定させ、動線や使い勝手を最終確認しましょう。オフィスのコンセプトやブランディング方針と整合性が取れているかも、この段階で再点検します。
次に、各業者との契約を完了させます。引っ越し、内装工事、原状回復、電気・通信関連など、複数の専門業者が関わるため、見積もりは3社以上から取り、費用だけでなく実績や対応力も比較して選定するのがポイントです。契約後は、レイアウト図面を基に詳細な打ち合わせを行い、工程表を共有しておくと安心です。
また備品や什器、OA機器などの発注もこの時期に進めましょう。納品まで数週間から数カ月かかる場合があるため、スケジュールに余裕を持って管理することが重要です。中古品の活用やリース契約を検討すれば、コスト削減にもつながります。
さらに、通信インフラの手配も早めに行う必要があります。ネットワーク回線やサーバー、電話回線の工事は完了まで2〜3カ月を要することが多く、遅れると業務開始に支障を来す恐れがあります。
最後に、社内外への周知準備も忘れずに行いましょう。社員には移転目的や新オフィスでの働き方を説明し、理解と協力を促します。銀行や取引先には新住所を通知し、名刺や封筒、Webサイトなどの印刷物更新もこの時期に着手しておくとスムーズです。
移転1~2カ月前にやること
移転1〜2カ月前は、最終調整と実務準備を同時に進める時期です。ここまでの計画を確認し、抜け漏れがないように仕上げていきましょう。
まず、引っ越し業者との最終調整を行います。搬出・搬入のスケジュールを確定し、内装工事やインフラ工事と重ならないように調整します。電気・水道・通信などのインフラ設備も、稼働に支障が出ないよう確認しておくことが大切です。
次に、行政・公的機関への届出を実施します。郵便局の転居届をはじめ、消防署には「防火対象物使用開始届出書」や「工事計画届出書」を提出する必要があります。届出の期限を過ぎると業務開始に支障を来す可能性があるため、余裕を持った対応を心がけましょう。
また物品整理・廃棄・梱包を進める時期でもあります。使用頻度の低い書類や備品から順に整理を始め、不要なものは専門業者に回収を依頼します。精密機器や割れ物は引っ越し業者の指示に従い、専用梱包材を使って安全に準備を進めましょう。
社員向けマニュアルの作成も重要です。荷造り方法や当日の動き、データ移行の手順などをまとめ、従業員全員が同じ情報を共有できるようにします。併せて、当日の立ち会い担当者や責任者を明確にしておくと混乱を防げます。
そして、社外への移転告知もこの時期に行います。取引先への案内状発送は、移転の2週間前までに完了するのが理想です。自社のWebサイトやSNSにも告知を掲載し、問い合わせ対応などの連絡体制も整えておきましょう。
最後に、工事・内装の最終検査を実施します。発注内容通りに仕上がっているか、設備や照明、ネットワーク環境に不備がないかをチェックし、必要に応じて業者と是正を行います。この段階での確認が、安心して新オフィスに移行するための大切なステップです。
移転直後~1カ月以内(完了・運用段階)にやること
新オフィスへの移転が完了しても、ここで終わりではありません。移転直後〜1カ月以内は、新環境の整備と法的手続きを完了させるフェーズです。
まず、新オフィスの設備と安全性の確認を行います。ネットワーク回線やOA機器、空調、照明、消防設備などが正常に稼働しているかチェックします。避難経路や防災設備の案内も実施し、必要に応じて避難訓練を行いましょう。
次に、運用体制とルール整備を進めます。新しい座席配置や出入口ルール、備品の使用方法などをマニュアル化し、従業員全員が理解できるようにします。業務効率や安全性を保つためには、運用ルールの共有が欠かせません。
またセキュリティ体制の見直しも重要です。入退室管理システムの設定や防犯カメラの点検、書類保管ルールの確認などを行い、情報漏えい防止を徹底します。貸与パソコンや社員証の管理方法も、移転後の環境に合わせて再設定しておきましょう。
続いて、旧オフィスの引き渡し手続きを行います。原状回復工事が完了したら、貸主や管理会社の立ち会いのもとで最終確認を行い、鍵の返却と書類の受け渡しを済ませます。
さらに、法的な各種届出も忘れてはいけません。法務局への移転登記は2週間以内、社会保険事務所への所在地変更届は原則5日以内に行う必要があります。
税務署への異動届は「事業年度・納税地・資本金額等の異動届出書」の場合は移転後速やかに、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の場合は移転日から1カ月以内に行います。
加えて、銀行やクレジットカード、通信契約などの登録情報も速やかに変更しましょう。
最後に、移転後の効果検証を行いましょう。社員アンケートなどを通じて使い勝手や課題を洗い出し、改善策を検討します。新しいオフィス環境をより良くしていく姿勢が、企業の信頼や働きやすさの向上につながります。
オフィスの移転を成功させるためのポイント

ここまでのスケジュールを実践する上で、オフィス移転を「成功」と呼べるかどうかは、目的の明確化と計画の質にかかっています。スケジュール通りに進めても、移転の目的があいまいでは満足度が下がってしまうこともあります。ここからは、オフィス移転を成功に導くためのポイントを整理していきましょう。
オフィス移転を行う目的を洗い出す
オフィス移転を成功させる第一歩は「なぜ移転するのか」を明確にすることです。現オフィスの課題を把握し、移転で何を解決したいのかを具体的に整理しましょう。
例えば「スペースが手狭になった」「建物が老朽化している」「アクセスが悪く人材採用に不利」「働き方に合わない間取り」など、現状の課題をリスト化します。その上で、移転によって実現したい理想像を描くことが大切です。
理想像には「社員の生産性向上」「ブランドイメージの強化」「人材の確保」「コスト削減」など、企業の中長期的なビジョンと結びつく要素を盛り込みます。これらを明確にしておくことで、移転先選びや業者選定、レイアウト設計といった判断基準が一貫し、プロジェクト全体の方向性が定まります。
目的を明確にすることは、単なる引っ越しではなく、企業の未来を見据えた戦略的な移転を実現するための土台づくりです。
スケジュールは余裕を持って立てる
オフィス移転は、短期間で終わる単純な引っ越し作業ではなく、通常8カ月以上を要する中長期のプロジェクトです。物件探しから設計、工事、通信環境の整備、引っ越し、登記変更まで、複数の工程が並行して進むため、余裕を持ったスケジュール設計が成功の鍵を握ります。
計画を立てる際は、まず移転の目的や将来のビジョンを明確にし、それを実現するためのスケジュールを逆算して組み立てましょう。例えば内装工事や什器納品などは、想定よりも時間がかかることが多いため、標準期間の1.5倍ほどのバッファを取っておくと安心です。
また工事遅延や納期のずれなど、予期せぬトラブルが発生する可能性もあります。こうしたリスクを想定し、余裕を持った計画にしておくことで、慌てず柔軟に対応できます。特に引っ越し業者や内装会社は、3月や9月といった繁忙期に予約が集中するため、早めに相談・契約して希望日程を確保しておくことが重要です。
さらに、スケジュールは紙ベースではなく、ガントチャートなどの可視化ツールを活用すると管理がしやすくなります。各担当者の進捗が共有でき、工期やコストのロスを防ぐことにもつながります。柔軟で見通しのある計画こそが、オフィス移転を円滑に進める最大のポイントといえるでしょう。
信頼できるオフィス移転業者を選ぶ
オフィス移転の成功は、どの業者とパートナーを組むかによって大きく変わります。価格の安さだけで判断するのではなく、実績や対応力、サポート体制を重視することが重要です。
特に、単なる引っ越し業者ではなく、設計や什器、通信工事までトータルで対応できる「オフィス移転専門業者」を選ぶと安心です。トラブル発生時にも柔軟な対応が期待でき、全体を見渡した提案が受けられます。
この後紹介する「実績」「ワンストップ対応」「アフターフォロー」の3つの視点を押さえることで、信頼できる業者選びの基準が明確になります。
実績が豊富にある業者か
オフィス移転は専門性が高く、複雑な調整を伴うプロジェクトです。そのため、実績のある業者に依頼することが、品質と安心感を確保するための第一歩になります。
まずは、業者のWebサイトや事例紹介ページを確認しましょう。過去の施工実績や対応業種・規模を見れば、自社に近い条件での対応経験があるかどうかを把握できます。特に、自社と同規模・同業種のオフィスを手がけた事例がある業者は、課題やリスクを理解しており、的確な提案を期待できます。
またデザイン・レイアウト設計・工程管理など、自社の要望にどの程度対応できるかも重要な判断材料です。複数分野に対応できる業者であれば、進行管理が一本化でき、全体の整合性も取りやすくなります。
さらに、施工後の写真や顧客の声などもチェックしておくと安心です。単なる実績数よりも「どのような課題をどう解決したか」といった内容の質を重視することで、自社に合ったパートナーを見極められるでしょう。
レイアウトから引っ越し作業まで対応してくれるか
オフィス移転を効率的に進めるためには、レイアウト設計から引っ越し作業までを一括で任せられる「ワンストップ対応」の業者を選ぶのがおすすめです。
物件探し、設計、内装、什器手配、通信工事、引っ越し作業といった各工程を個別に依頼すると、スケジュール調整や責任の所在が複雑になり、トラブルの原因になりかねません。ワンストップ対応の業者なら、全体の進捗管理を一元化でき、担当者の負担を大幅に減らせます。
また一括対応により業務の重複や費用の二重発生を防ぎやすくなります。設計から引っ越しまで同じ担当者が関わるため、意図の伝達ミスも起こりにくく、移転後の業務開始もスムーズです。
ただし、業者によっては「ワンストップ」と言いつつ一部工程を外部委託している場合もあるため、どこまで自社対応できるのか事前に確認しておくと安心です。
ワンストップ対応業者は、限られた期間で確実にオフィスを整えたい企業にとって、心強いパートナーといえるでしょう。
アフターフォローを行ってくれるか
オフィス移転は完了して終わりではなく、新オフィスでの運用が始まってからも調整が続きます。そのため、移転後のアフターフォロー体制がしっかりしている業者を選ぶことが大切です。
実際には、引っ越し後に想定外のトラブルや要望が生じることが少なくありません。例えば「座席を増やしたい」「会議室の仕切りを変更したい」「照明の明るさを調整したい」など、細かな修正や追加工事が必要になるケースがあります。こうした要望に迅速に対応できる業者であれば、安心して新しいオフィス運用を続けられます。
また備品の追加発注や什器のメンテナンス、ネットワーク設備の不具合対応など、アフターフォローの範囲を事前に確認しておくと良いでしょう。小規模な修繕やレイアウト変更にも対応できる体制がある業者は、長期的な信頼関係を築きやすい傾向にあります。
オフィスは一度完成したら終わりではなく、企業の成長や働き方の変化に合わせて進化していく空間です。アフターフォローを大切にする業者こそ、真にパートナーと呼べる存在といえるでしょう。
まとめ
オフィス移転は、一般的に6カ月〜1年ほどかかる長期プロジェクトです。限られた期間で確実に進めるためには、早めの計画立案、信頼できる業者選定、そして余裕を持ったスケジュール設計が欠かせません。
想定外の支出を防ぐためにも、複数社の見積もりを比較し、条件やサポート体制を確認しておくと安心です。
オフィス移転は、単なる引っ越しではなく、企業の働き方やブランドを見直す絶好の機会です。全体を見通した計画を立て、確実に実行していきましょう。
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