オフィスを快適に過ごすためにはトイレが重要? 設計の注意点を紹介!従業員が使いやすいトイレを考えてみましょう。
トイレの快適さは、従業員のモチベーションに影響を与えます。
この記事では、快適なオフィストイレを設計するためのポイントを押さえましょう。
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オフィスのトイレを施工する前に考えるポイント3選
まずは必要なトイレの数、使いやすい個室のサイズ、ニーズが高いトイレの種類や機能を確認します。
トイレの数を確保
「事務所衛生基準規則」第17条にトイレの設置基準が定められています。
トイレの数に関する規定は次のとおりです。
従業員数 | 最低個数 | |
男性用大便所 | 60人以内 | 1個 ※60人ごとに1個追加 |
男性用小便所 | 30人以内 | 1個 ※30人ごとに1個追加 |
女性用便所 | 20人以内 | 1個 ※20人ごとに1個追加 |
例えば男性用大便所の場合、従業員が1〜60人なら1個、61〜120人なら2個、121〜180人なら3個必要です。
ただし例外として、従業員数が10人以内の場合は、独立個室型の便所(全方向を壁や扉で囲まれた、内側から鍵をかけられるトイレ)1個のみの設置が認められています。
また、独立個室型の便所を設置した場合、独立個室型の便所1個につき男女それぞれ10人ずつ従業員数から減らして最低個数を算出します。
例えば男性従業員と女性従業員が各65人いる場合、独立個室型の便所を1個設置すると、最低個数は次のようになります(男女従業員数をそれぞれ55人に修正するため)。
●男性用大便所:1個
●男性用小便所:2個
●女性用便所:3個
個室のサイズ
使いやすい個室にするために必要なサイズは、横幅90cm、便器前方70~80cmです。便器前方に必要な空間は、トイレ利用者の荷物の有無によって異なります。
● 荷物なしで使用する場合
横幅90cm、便器前方70cm以上
● 荷物ありで使用する場合
横幅90cm、便器前方80cm以上
個室のサイズは便器の寸法を確認してから決定します。これは便器の種類やタンクの有無、メーカーなどによって便器の奥行きが異なるためです。
【例:タンク式など、便器の奥行きが80cmの場合】
●荷物なし
80cm+70cm=150cm
個室のサイズは90×150cm必要
●荷物あり
80cm+80cm=160cm
個室のサイズは90×160cm必要
【例:タンクレスなど、便器の奥行きが70cmの場合】
●荷物なし
70cm+70cm=140cm
個室のサイズは90×140cm必要
●荷物あり
70cm+80cm=150cm
個室のサイズは90×150cm必要
種類や機能の充実
トイレの種類や機能を充実させましょう。
外出先のトイレで洋式便器を好んで利用する人の割合が男女ともに7割を超える一方で、和式便器を好んで利用する人もいます(女性19.3%、男性7.3%)。
【トイレの種類と特徴】
和式トイレ | 洋式トイレ | |
種類詳細 | ・普通便器 / 両用便器(大小両用) | ・タンク式 / タンクレス ・床置き / 壁掛け ・バリアフリー(多機能、多目的) ・車椅子対応 |
メリット | ・掃除しやすい ・肌が便座に触れない ・足腰が鍛えられる |
・姿勢が楽 ・節水便器の場合、節水効果がある ・暖房便座の場合、冬場も快適 |
デメリット | ・臭いが発生しやすい ・水などがはねやすい ・人によっては利用しづらい(妊婦や高齢者など) |
・掃除しにくい ・肌が便座に触れることに抵抗を感じる人がいる ・利用時間が長くなる可能性がある(トイレ内でスマートフォンを使うなど) |
また、トイレにはさまざまな機能があります。
【トイレの機能例】
●擬音装置や自動洗浄
●温水洗浄や節電機能(洋式便座の機能)
●節水機能(洋式便器の機能)
トイレの設備や機能に関するアンケート結果によると、温水洗浄や暖房便座、脱臭装置を必要だと感じている人が多いようです。
【体調不良時にオフィスの大便器ブースに欲しい設備】
●温水洗浄便座(女性39%、男性39%)
●手洗器(女性36%、男性31%)
●脱臭装置(女性49%、男性29%)
【公共施設の洋式トイレに最低限必要だと思う機能】
●温水洗浄 25.5%
●暖房便座 20.5%
●脱臭・消臭 19.5%
●便器の自動洗浄 16.9%
●蓋の自動開閉 7.3%
※小数第二位以下を四捨五入して記載
施工期間
施工期間はトイレの広さや内容によって異なります。
ここでは事例別の施工期間と、独立個室型便所の施工期間の目安を紹介します。
【事例別施工期間】
●テナントビルのトイレリフォーム
内容:独立個室型の和式トイレを洋式トイレにリフォーム
費用:33万円
施工期間:5日間
参考:テナントビルの狭いトイレリフォーム | 施工例・費用のご紹介
●商業ビルのトイレリフォーム
内容:男子トイレと女子トイレを全面改修
費用:約329万円
施工期間:約3週間
参考:商業ビルのトイレ改修工事 | ユーアイホーム株式会社
●自社ビルのトイレリフォーム
内容:自社ビルの各階トイレを全面改修
費用:約800万円
施工期間:約6週間
【独立個室型の施工期間目安】
①便座交換・・・30分~2時間
②トイレ交換・・・半日
③内装を含むリフォーム・・・1~2日
(トイレ交換のほか、床や壁、レイアウトも変更する)
④機能性を高める・・・2日~
(バリアフリー化など)
設計する際の注意点
トイレは清潔さが最も重視される場所です。
清潔で快適なトイレを設計するための注意点を4つ紹介します。
【外出先でトイレを利用する場合に一番重視すること】
●女性
1:清潔さ(76.6%)
2:混雑がない(8.7%)
3:安全が確保されている(8.2%)
●男性
1:清潔さ(68.1%)
2:混雑がない(16.4%)
3:快適さ(8.7%)
内装材の選択
トイレを清潔に保つために、臭いを抑えられる、掃除がしやすい内装材を選びましょう。
例えば空気清浄効果のある壁紙や抗菌タイル、防汚機能をもつ床材などがあります。
床材については、耐久性があり滑りにくいものがおすすめです。
デザイン
清潔さを出すためには、白を基調としたデザインにすることが有効です。
汚れを目立たせないようにするのであれば、白よりも木目調などのデザインが適しています。
暗い色を選ぶと高級感が出ますが、黒い床はほこりや水あかが目立ちやすくなります。
女性視点
女性の場合、次のような目的でトイレを利用することがあります。
●身だしなみを整える(個室35.7%、共用34.7%)
●化粧(個室21.4%、共用31.6%)
●着替え(個室20.4%)
手洗いカウンターに個別の鏡を設置する、パウダールームを別に設けるなど、身だしなみを整えやすい設計にすることも快適さにつながります。
便座の快適さ
便座の快適さも重要です。特に暖房便座、温水洗浄、脱臭機能はニーズが高くなっています。
まとめ
オフィスのトイレには設置基準があり、トイレの個室内には身づくろいできるだけの空間が必要です。清潔さと快適さを軸に、トイレの種類や機能、内装などを検討しましょう。