執務室のレイアウトはどう考える? 座席の配置例・運用方法も解説!
執務室のレイアウトは、働きやすさや企業の印象に直結する重要な要素です。しかし「集中できる環境がない」「スペースが足りない」「動線が悪く移動しにくい」といった悩みを抱える方は少なくありません。
そこで本記事では、執務室の基本的な定義、レイアウトを考える際のポイント、そして具体的な運用方法などを解説します。オフィス移転やレイアウト変更をご検討中の方は、ぜひ参考になさってください。
目次
- そもそも執務室とは?
- 執務室のレイアウトの考え方
- コンセプトを決める
- 面積の配分・配置を決める
- 寸法・動線を考える
- 法律に違反していないかを確認する
- 執務室の座席のレイアウト例
- 対向型(島型)レイアウト
- 背面型レイアウト
- 同向型レイアウト
- ブース型レイアウト
- ブーメラン型レイアウト
- クロス型レイアウト
- 執務室の座席の運用方法
- 固定席
- フリーアドレス
- ABW
- 【事務所移転.com】の執務室の施工事例3選
- 【株式会社ユーロテクノ 横浜テクニカルセンター様】倉庫内に事務所、研究等棟設置
- 【株式会社N&K JAPAN様】明るく爽やかなオフィス
- 【株式会社日本技研プロフェッショナルアーキテクト様】フェイクグリーンがポイント。カフェ風オフィスに!
- まとめ
そもそも執務室とは?
執務室とは、会議室や応接室を除いた事務作業を行う空間を指します。一般的なオフィスの中でも広い面積を占め、従業員が長時間過ごす場所です。そのため集中力や生産性、さらには従業員のモチベーションに大きな影響を与えます。
近年では、リモートワークの普及を背景に「単なる作業の場」から「交流や体験を生む場」へと役割が変化してきました。例えば、コミュニケーションを促すレイアウトや快適性を意識した設計が求められるようになっています。
さらに執務室は来訪者が目にする空間でもあり、企業の印象やブランディングにも関わります。適切に設計された執務室は従業員のエンゲージメントを高め、企業全体の魅力向上にもつながるのです。
執務室のレイアウトの考え方

執務室のレイアウトを考える際は「コンセプト」「面積配分」「動線設計」「法律遵守」の4つが大切です。働きやすさや企業文化を反映させながら、効率的で快適な空間作りを目指しましょう。ここでは、それぞれの要素を順に解説していきます。
コンセプトを決める
執務室のレイアウトを検討する前に「どのようなオフィスにしたいか」というコンセプトを明確にする必要があります。自社の業務内容や働き方に合ったオフィス像を描くことで、家具や内装に一貫性が生まれ、統一感のある空間を実現できます。
例えば個人作業を重視する企業なら個別ブースを多めに配置し、共同作業を重視する企業ならオープンスペースを広く取るといった工夫が必要です。コンセプトを軸に設計することで、企業ブランディングや採用活動にも好影響を与えられます。
また最近では、従業員の健康や幸福を意識した「ウェルビーイング」や、仕事内容に応じて場所を選ぶ「ABW(Activity Based Working)」、リモートと出社を両立させる「ハイブリッドワーク」に対応したオフィスが注目されています。こうした流れを踏まえてコンセプトを決めると、時代に合ったオフィス作りが可能です。
面積の配分・配置を決める
執務室のコンセプトが決まったら、全体の面積をどのように配分するかを決めます。一般的には、執務エリアに全体の50〜60%、会議室や打ち合わせスペースに20%前後、休憩・交流スペースに10〜20%を割り当てるのが目安とされています。
さらに、将来の人員増加や業務拡大に対応できるよう、余情スペースや拡張スペースを確保しておくことも大切です。その上で各エリアの配置を考えていきます。
例えば、来客対応のエリアは入口付近に設け、役員室のように機密性を求められるエリアは奥まった位置に置くのが一般的です。社員が頻繁に出入りする会議室や休憩スペースは、執務エリアに隣接させると動線がスムーズになります。
面積と配置を組み合わせた計画こそが、効率的で柔軟性のあるオフィス作りにつながります。
寸法・動線を考える
執務室の快適性や効率性を高めるには、基本的な寸法の確保と動線設計が欠かせません。一般的な目安として、メイン通路の幅は1,600mm程度、デスク間の通路は900mm程度が望ましいとされています。
また1人当たりのデスクは幅1,000〜1,200mm、奥行き700mmが標準的です。作業スペースを確保しつつ、椅子の出し入れや人の移動をスムーズに行えます。
さらに利用頻度の高い会議室や、コピー機などへアクセスしやすいように動線を作ることも重要です。ユニバーサルデザインの観点からは、車椅子利用者が無理なく通行できる幅を確保する必要もあります。
避難経路を想定した通路幅の設計も、安全基準を満たす上で不可欠です。なお、ここで挙げた数値はあくまで一般的な目安であり、オフィスの規模や業種によって柔軟に調整することが求められます。
法律に違反していないかを確認する
執務室のレイアウトを設計する際は、法令遵守を前提に考えることも重要です。代表的なものには消防法や建築基準法、労働安全衛生法があり、これらに基づいて避難経路の確保や転倒防止措置、安全対策などを行う必要があります。
さらに感染症対策として2,000mm程度の距離を意識した席の配置や十分な換気、パーティションの活用なども行いましょう。加えて事業継続計画(BCP)の観点からも、災害時に安全に避難できる通路や、最低限の業務を継続できる環境整備が求められます。
なお法令の具体的な条文は常に最新の情報を確認し、断定的な判断ではなく一般的な基準として捉えることが大切です。法令順守と安全配慮を両立させることで、安心して働ける環境を整えられます。
執務室の座席のレイアウト例
執務室の座席のレイアウトは一つではなく、業務内容やチームのコミュニケーションの取り方によって適したスタイルが変わります。固定席を前提とした従来型から、近年ではフリーアドレスなど多様な形式が登場しています。ここでは代表的な座席のレイアウトの種類を見ていきましょう。
対向型(島型)レイアウト
対向型レイアウトは、部署ごとにメンバーが向かい合わせで座る形式です。書類や資料のやり取りがしやすく、口頭でのコミュニケーションも円滑に進むのが特徴です。
特に経理・総務・人事といったチーム内で協力して進める業務が多い部署に適しています。またオープンな雰囲気を作りやすく、新入社員や若手の育成にも役立ちます。
一方で集中できる環境を確保しにくい点が課題です。そのため、必要に応じてパーティションを設置したり、机の間隔を広めに取ったりする工夫が求められます。利便性と快適性を両立させるためには、チームの業務特性を踏まえた柔軟な設計が重要です。
背面型レイアウト
背面型レイアウトは、社員同士が背中合わせで座るスタイルです。この形式は、正面に人の視線が入らないため集中力を高めやすいという利点があります。同時に、振り返るだけで向かい合わせの状態になり、短時間の相談や確認も可能です。
さらに背面の中央に机を設置すれば、その場で簡単な打ち合わせを行える柔軟性もあります。クリエイティブ部門や設計部門のように、個人作業と共同作業を切り替える必要がある職種に適しています。
ただし後方から作業内容が見えやすいため、情報管理やプライバシー面への配慮は欠かせません。セキュリティ対策を講じながら運用することで、集中と交流を両立させることができます。
同向型レイアウト
同向型レイアウトは、デスクを一方向に並べる配置方法です。全員が同じ方向を向いて作業するため、集中しやすい環境を整えられます。コールセンターや銀行窓口など、定型化された業務に適しており、教育現場や研修施設にも向いています。
また管理者を最後尾に配置することで、全体の様子を見渡しながら指示を出しやすいというのも利点です。
一方で社員同士が顔を合わせる機会が少ないため、自然なコミュニケーションが生まれにくい点が課題です。集中と管理のしやすさを重視する場合に有効ですが、コミュニケーションの不足を補う工夫が欠かせません。また机を一列に並べるため広い空間が必要となる点にも注意しましょう。
ブース型レイアウト
ブース型レイアウトは、パーティションや専用の仕切りで個人ブースを設ける形式です。周囲の視線や雑音を遮断しやすく、集中や静音を求める作業環境に適しています。
例えばクリエイティブ職や一人作業中心の職種、またWeb会議を頻繁に行う部門にも有効です。加えて機密情報を扱う業務では、セキュリティ面でもメリットがあります。
一方で進捗状況を共有しにくく、コミュニケーションが不足しがちです。そのため孤立感を軽減する工夫や、定期的なチームミーティングが必要になります。最近ではABW(Activity Based Working)やフリーアドレスと組み合わせ、必要に応じてブースを利用する運用も増えています。
利便性と柔軟性に配慮しつつ、マネジメント上の課題にも気を配る必要があるでしょう。
ブーメラン型レイアウト
ブーメラン型レイアウトは、120度の特殊なテーブルを用いた亀甲状の配置が特徴です。一人当たりの机面積が広く、複数モニターや大型資料を扱う作業に適しています。
個々のスペースを確保しながら、隣席との距離を程よく保てるため、集中と交流のバランスが取りやすい形式です。パーティションを追加すれば視線を遮りつつ会話も可能で、柔軟な運用が可能です。
IT企業や設計・開発部門で導入事例が多く、現代的なワークスタイルに合致しています。ただし、特殊な机が必要なため初期コストが高く、導入時には慎重な検討が必要です。機能性を重視する職場には向いていますが、費用対効果を見極めた判断が求められます。
クロス型レイアウト
クロス型レイアウトは、デスクを縦横に交差させて配置するスタイルです。通路がジグザグになるため、社員同士が自然にすれ違い、偶発的な交流が促進されます。コミュニケーションやアイデア交換を重視する職場に適しており、特にスタートアップや企画開発チームで取り入れられることが多い形式です。
自由度が高く活発な雰囲気を作れる一方で、集中しにくいことや広いスペースが必要になる点が課題です。業務の特性を見極め、クリエイティブさと効率性のバランスを考慮することが成功の鍵となります。
執務室の座席の運用方法

座席のレイアウトは、配置だけではなく「どのように運用するか」によっても機能性が変わります。ここでは代表的な運用スタイルを紹介します。
固定席
固定席は、従業員一人ひとりに特定の席を割り当てる運用方法です。毎日同じ場所で作業できるため安心感があり、ルーティンワークやバックオフィスが中心の部署や管理職に適しています。
資料や個人用品を席に置けるため、セキュリティや管理の面でもメリットがあります。
一方、席が固定されることで他部署とのコミュニケーションに支障が出たり、スペース効率が悪くなったりといったデメリットもあるでしょう。近年は、固定席を基本としつつ一部に共有席を設けるハイブリッド型の導入事例も見られます。安定した環境を求める業務には有効ですが、変化の多い業務では工夫が必要です。
フリーアドレス
フリーアドレスは固定席を設けず、従業員がその日の業務に合わせて空いている席を選ぶ運用です。ノートパソコンやヘッドセットなどの持ち運べる機器を活用すれば、場所に縛られない働き方が実現可能です。
出社率が低い部署や外回りの多い営業職と相性が良く、席の稼働率向上によるスペースの有効活用が期待できます。部署を越えた着座でコミュニケーションが活性化し、情報交換の機会も生まれるでしょう。
一方で、荷物の置き場所や書類管理が課題になりやすく、帰属意識が薄れる懸念もあります。個人ロッカーの設置や紙書類の電子化、着座ルール(エリアの使い分けや滞在時間の目安)の整備など、運用面の工夫が欠かせません。
ただしフリーアドレスは働き方改革、コスト最適化、ハイブリッドワークの広がりを背景に導入が進んでおり、オフィスの更新時に検討する価値はあるといえるでしょう。
ABW
ABW(Activity Based Working)は、業務の内容や気分に応じて最適な場所を選ぶ働き方です。集中ブース、カウンター席、電話ブース、ラウンジ、プロジェクト用のコラボエリアなど、多様な選択肢を用意します。
例えば分析作業は静かなブース、短時間の相談は立ち会議エリア、アイデア出しはラウンジといった切り替えが可能です。感染症対策の観点でも、用途別の分散配置やオンライン会議専用スペースの整備が有効に働きます。
重要なのは席の選択が自由なことだけではなく、オフィス設計やIT環境、評価制度、行動ルールなどを一体でデザインすることです。海外企業や先進的な国内企業では、ABW導入により個人作業と共同作業の切り替えがスムーズになり、成果創出のスピードが向上した例もあるようです。
【事務所移転.com】の執務室の施工事例3選
ここからは、全国のオフィス・事務所移転や原状回復を行っている株式会社ブレインズ・ネットワークの「事務所移転.com」の施工実績のうち、執務室のレイアウトを手掛けた事例を3つご紹介します。
【株式会社ユーロテクノ 横浜テクニカルセンター様】倉庫内に事務所、研究等棟設置
1つ目は、株式会社ユーロテクノ 横浜テクニカルセンター様の事例です。広い倉庫内に鉄骨造の事務所棟と、断熱パネル造の研究棟を新設しました。会議室にはペンダントライトやモザイクタイルを採用し、上質感を演出しています。
倉庫の床は重歩行用塗装で仕上げ、耐久性を確保しています。倉庫の機能を損なわずに、快適性とデザイン性を両立した点が特徴です。
詳しい情報はこちらをご確認ください。
【株式会社N&K JAPAN様】明るく爽やかなオフィス
2つ目は株式会社N&K JAPAN様の事例です。エントランスはコーポレートカラーと白を基調に明るい印象を作りました。「広々と使いたい」というご要望に合わせ、執務エリアは白い什器で統一し、清潔感と開放感を演出しています。
また変わった間取りでも効率よくお使いいただけるようなレイアウトを作成しました。明度をそろえた色使いで光の反射を生かし、視覚的な広がりと実用性を確保した点がポイントです。
詳しい情報はこちらをご確認ください。
【株式会社日本技研プロフェッショナルアーキテクト様】フェイクグリーンがポイント。カフェ風オフィスに!
株式会社日本技研プロフェッショナルアーキテクト様の事例です。コンセプトは「カフェ風オフィス」です。蛍光灯をダウンライトへ変更し、天井を黒塗装にして落ち着いた雰囲気を演出しました。エントランスや什器にビンテージカラーの木目素材を使用し、壁紙には石目調を採用。ソファ席を作ることでカフェのような空間に仕上げています。
壁面にはフェイクグリーンや間接照明も設けて、視線の抜けとアクセントを両立。リラックスしやすい職場環境に仕上げました。
詳しい情報はこちらをご確認ください。
まとめ
執務室のレイアウトは、コンセプトや面積の配分、寸法・動線などさまざまな要素に考慮して決める必要があります。まず「自社では何を重視するのか」を明確にし、働き方に合うレイアウトの最適解を導き出しましょう。
株式会社ブレインズ・ネットワークの「事務所移転.com」では、移転先のオフィスの選定からレイアウト作成、什器や機器の搬入、売却、設置までを一貫して対応しております。お見積もりやお問い合わせ、レイアウトも無料で承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
