40坪のオフィスレイアウトを決める方法とは? 準備・事例も解説

40坪という広さのオフィスは、中小企業にとって決して小さくはありませんが、社員数や業務内容によって「快適さや効率性は十分か」「来客対応のスペースを確保できるか」といった悩みが生じやすい規模でもあります。
限られた空間を最大限に生かすには、1人当たりの面積の目安を把握し、必要な機能をどのように配置するかを考えることが欠かせません。
そこで本記事では、オフィスで必要な一人当たりの広さや必要な施設、40坪のオフィスをレイアウトする際の考え方などを紹介します。オフィス移転やレイアウトをご検討中の方は、ぜひ参考になさってください。

1人当たりには何坪必要?

オフィスを設計する際にまず意識すべきなのが「1人当たり必要な坪数」です。法律上の最低基準として、労働安全衛生法および事務所衛生基準規則では「1人当たり10㎥以上」を求めており、天井高2.5mで換算すると約4㎡、つまり約1.2坪に相当します。
ただしこの基準はあくまで最低限であり、快適性を確保するには一般的に2.5〜3坪前後が目安とされています。例えば、社員10名であれば20〜40坪、30名であれば50〜70坪程度が妥当な広さです。
業種や働き方によって必要面積は変動し、テレワーク比率が高い企業では省スペースでも成り立つ一方、資料や機器が多い業務では余裕を持った設計が望まれます。快適さを優先するのか、コスト効率を重視するのか、自社の状況に応じて判断することが重要です。

1人1.2~1.5坪でレイアウトしたオフィスの特徴

1人当たり1.2~1.5坪のレイアウトは、省スペースを前提にした設計です。最低限のデスクと椅子、通路は確保できますが、紙資料や機材を多く扱う職種では窮屈さを感じやすくなります。共有スペースを設けると圧迫感が出やすく、会議室や休憩スペースの確保は難しくなるでしょう。
フリーアドレス制やテレワークを組み合わせることで、効率的な活用が可能です。特に、ノートパソコン1台で業務が完結する営業やIT系の職種であれば、省スペース設計でも支障が少なく運用できます。限られた坪数をどう活用するかが鍵であり、狭さをネガティブに捉えるのではなく、柔軟な働き方と組み合わせることで十分に成り立つ設計です。

1人当たり2.5〜3坪でレイアウトしたオフィスの特徴

1人当たり2.5〜3坪のレイアウトは、一般的に「快適に働ける標準的な広さ」とされます。3坪程度であれば標準的な快適さを確保でき、デスクを広めに取り、多画面ディスプレイや必要な書類を置いても余裕があります。
4坪まで確保できれば、管理職や役員の個室を設けたり、会議室や休憩室、カフェスペースなど多様な用途の空間を整備したりすることも可能です。特にエンジニアやデザイナーなど、作業環境の充実が生産性に直結する職種では、この広さが理想的です。
3坪と4坪では体感的に大きな差があり、3坪は標準的な快適さ、4坪は「余裕のあるゆったりとした環境」とイメージすると分かりやすいでしょう。

オフィスに必要なエリア

オフィスは単に作業を行う場所ではなく、受付や会議室、休憩室など複数の機能を持つ空間の組み合わせで成り立っています。各エリアは来訪者への印象や従業員の働きやすさに直結するため、バランスの取れた設計が欠かせません。
ここではオフィスに必要なエリアとその役割、広さの目安などを解説していきます。

受付

受付は来客が最初に目にする「企業の顔」となる場所です。ここでの第一印象がその後の商談や信頼感にも影響するため、デザインや演出にこだわることが重要です。
ブランドカラーを取り入れた内装や、シンプルで清潔感のある什器を配置することで、企業のコンセプトを自然に伝えられます。
広さの目安は、無人受付で約1.39坪です。来訪者数が多い場合は有人受付を設けたり、セキュリティゲートや来訪者管理システムと連動させたりすることで利便性と安全性を高められます。
規模や利用頻度に応じて、有人・無人を選択するのも一つの工夫です。重要なのは、単に豪華さを演出するのではなく、機能性と企業イメージの両立を意識することです。

執務室

執務室は社員が日常的に作業を行うメインエリアであり、オフィス全体の中でも最も広い割合を占めます。法律上は「1人当たり10㎥(約1.4坪以上)」が最低基準ですが、快適に働くためには2.5〜3坪程度が推奨されます。
例えば、IT企業では2.5〜3坪が一般的ですが、法律や金融業界では資料や書籍を扱うため4坪以上が必要になるケースもあります。働き方の影響も大きく、フリーアドレスやテレワークを導入すれば必要面積を減らせるでしょう。
一方で役員席や個室を設ける場合は3〜4坪を確保すると運用しやすいです。またメインデスクの大きさやモニターの数によっても必要面積は変動します。執務室の広さは、業種や働き方に応じた最適化が求められるのです。

会議室

会議室は、打ち合わせや商談などを行うための重要なスペースです。完全独立型で守秘性を確保する方法もあれば、パーティションで区切る簡易型もあります。
広さの目安としては、打ち合わせブースが約1.75坪、6名用で約4.34坪、12名用で約7.77坪、応接室は約6.81坪とされています。
会議室は稼働率70%を目安に設計するのが効率的です。来客対応を重視する場合はエントランス近くに配置すると便利です。
さらにオンライン会議の増加に伴い、防音仕様の小規模会議室やWeb会議専用ブースを導入する企業も増えています。利用目的と広さの関係を整理しながら設計することがポイントです。

休憩室

休憩室は従業員がリフレッシュし、集中力を取り戻すための空間です。ストレス軽減やコミュニケーション促進の役割を担い、福利厚生として従業員満足度を高める効果も期待できます。広さの目安は全体面積の10〜15%程度とされ、カフェスペースやロッカー、ワークアウトエリアなどを取り入れると多目的に活用できます。
また休憩室を小規模ミーティングや社内交流の場として利用すれば、空間効率をさらに高められます。最近では「ウェルビーイング」を重視した設計も注目されており、自然光を取り入れたり、フェイクグリーンや観葉植物を配置したりする工夫が人気です。
単なる「休憩の場」ではなく、従業員の働きやすさを支える重要なエリアとして位置付けることが大切です。

収納エリア

収納エリアは、業務書類・備品・防災用品などを安全かつ取り出しやすく保管するための場所です。面積の目安は全体の5〜10%。まず紙の総量を棚メートルで見える化し、電子化できるものはペーパーレス化で圧縮します。
長期保管が必要な契約・会計・人事書類は、保管年限に沿って「残す/社外倉庫へ預ける/電子化して廃棄」を切り分けるとムダが減ります。フリーアドレスを導入する場合は、個人ロッカーの確保が前提です。例えば、一般的なロッカー3台で約0.14坪という寸法を目安に計画します。
実務面では、防災備蓄(人数×3日分)や非常用電源の置き場も忘れずに確保します。収納家具は耐震固定を行い、通路をふさがない配置にします。鍵付きキャビネットを用いて施錠管理を徹底し、鍵管理ルールを定めて運用の属人化を避けることが重要です。

40坪のオフィスへ移転する際の準備

40坪の移転計画は大規模になりがちなので、まずは準備を整えましょう。以下で詳しく解説します。

従業員から意見を集める

大規模アンケートは通勤時間や空調、コスト意識のばらつきが大きく、全要望を反映するのは現実的ではありません。移転の「目的と狙い」は経営判断で定め、最終意思決定の軸を最初に明示します。またアンケートは要点に絞って活用します。
具体的には、困りごとの把握や優先度の確認、NG要件の抽出に焦点を置きます。全員満足を目標にせず、判断の透明性と納得感を高めるプロセス設計が鍵です。

引っ越し日は土日に予約する

多くのオフィスビルでは、平日のエレベーター占有の予防や搬入車両の調整、他テナントへの配慮から、引っ越しは土日指定が基本です。併設のウェディング施設やレストランがある物件では、夜間限定や細かな時間指定が加わることもあります。
繁忙期(2〜4月)や月末最終週末は価格高騰や予約難が発生しやすく、月中設定がコスト抑制に有効です。ビル側のルールと申請手続き(搬入経路、養生方法、作業時間帯、騒音基準)は早めに確認しましょう。

40坪のオフィスレイアウトの考え方

40坪では、執務・会議・休憩・収納の配分を軸に、来客頻度や機密性などを加味して微調整します。ここからは、40坪のオフィスの基本的な考え方をご紹介します

自社の働き方に合ったレイアウトにする

オフィスレイアウトを考える際に大切なのは、自社の業種特性や働き方、そしてオフィスに求める役割を明確にすることです。例えば法律や会計事務所では機密性を重視した個室や、紙資料を保管するスペースが必要になるため、広めの面積が求められます。
一方、クリエイティブ系の職種では大型デスクやモニター、機材を設置できる余裕を確保することが重要です。
近年ではリモートワークやフリーアドレス制の導入により、固定席を減らして面積を効率的に使う工夫も広がっています。さらに活動ベースワーク(ABW)の考え方を取り入れることで、集中作業、打ち合わせ、オンライン会議、来客対応など、それぞれに適したスペースを設けられ、快適性と効率性の両立が可能です。
加えて、オフィスに求めるコンセプトを言語化し「来客を重視する」「部署間のやりとりを円滑にする」などの方針を具体的に反映させれば、会議室や応接室の配置、入口や共有設備の位置、通路の幅といった設計に一貫性が生まれます。
レイアウトは図面に落とし込み、家具や動線をシミュレーションして検証することが欠かせません。また将来的な人員増加や業務内容の変化を見越して余白を残しておくことで、柔軟な変更にも対応できるレイアウトが実現します。

各エリアの面積配分をする

オフィスを計画する際は、全体をどのように配分するかが重要です。
一般的な目安としては、以下のようになります。

 

  • ●執務スペース:50〜60%(標準55%)
  • ●役員スペース:8%
  • ●共有スペース(会議室・エントランスなど):14%
  • ●情報管理スペース(サーバールームなど):10%
  • ●休憩スペース:7%
  • ●収納スペース:4%
  • ●交通スペース(廊下など):2%

 

配置においては、役員室は奥まった位置に置き、会議室は来客動線を考えて入口付近に設けるなど、ゾーニングを工夫すると効率的に使えます。
業種や来客の頻度、ABWやフリーアドレスの導入状況によっても適切な配分は変動します。ここで挙げた数値はあくまで一般的な目安であり、自社の状況に応じた調整が必要です。

導線の良いレイアウトにする

快適で安全なオフィス作りには、導線設計が欠かせません。図面化して出入口や扉、什器配置をシミュレーションすることで、動線の滞りを防げます。休憩室を小会議室と兼用するなど多目的利用を工夫すれば、限られた40坪でも効率的に活用可能です。
さらに、来客が利用する会議室はエントランス付近に配置し、外勤者の出入口を分けることでスムーズな流れを確保できます。バリアフリー対応や災害時の避難経路もあらかじめ考慮すると、安心して働ける環境につながります。

法律にのっとったレイアウトにする

オフィスのレイアウトを計画する際は、必ず関連法令を踏まえることが大切です。労働安全衛生法では、室の気積を「設備が占める容積・床面から4m超の空間を除外して1人当たり10㎥以上」と定めています。照度についても基準があり、普通作業150lx以上、精密作業300lx以上、粗作業70lx以上を確保しなければなりません。
建築基準法では廊下幅に規定があり、両側居室は1,600mm以上、片側居室は1,200mm以上とされています。
また消防法に基づき、パーティションで個室を設ける際には感知器やスプリンクラー、非常灯の設置が必要となる場合があり、所轄の消防署(予防課)への相談が欠かせません。
さらに、職業紹介や人材派遣といった特定業種では、面談個室や個人情報保護のための鍵付き保管、事務室20㎡以上の確保、住居契約不可といった独自の要件があります。
不明点はオフィス移転コンサルや内装会社、消防・建築の所管窓口に早期に確認しましょう。加えて入退室管理、避難経路、バリアフリー対応も考慮に入れることで安全性が高まります。地域や建物用途で要件は異なるため、最終判断は必ず所轄行政へ確認することが重要です。

【事務所移転.com】の約40坪のオフィス施工事例

ここからは、約40坪規模で事務所移転.comが実際行ったオフィス施工事例を紹介します。

【司法書士法人リーガル・フェイス 横浜支社様】ゴージャス

神奈川県横浜市にある司法書士法人リーガル・フェイス横浜支社様では、約40坪・10名規模の事務所を2週間で施工しました。スチールパーティションと木目調フローリングタイルを組み合わせ、重厚感と高級感を演出しています。
施工範囲はレイアウト計画から内装・設備工事、什器やロールカーテン、エントランスサイン設置に至るまで幅広く対応しました。
工事は土日夜間限定で実施し、ビル運用ルールに沿って工程を最適化しました。
詳しい情報はこちらをご確認ください。

【成幸利根株式会社 沖縄支店様】機能性重視したオフィスレイアウト

成幸利根株式会社沖縄支店様の約40坪・10名規模のオフィスをレイアウトした事例です。内装工事では執務・倉庫・会議スペースを明確に分離し、執務スペースを広めに取りました。業務特性に応じたゾーニングを徹底しています。
詳しい情報はこちらをご確認ください。

まとめ

40坪のオフィスレイアウトを検討する際は、法律に基づいた基準を押さえた上で、1人当たりの面積目安や各エリアの配分を整理することが大切です。
執務・会議・休憩・収納の配分や動線設計を工夫することで、限られたスペースでも快適で効率的な環境を整えられます。また、フリーアドレスやABWの導入によって出社率や働き方に応じた柔軟な設計も可能です。
株式会社ブレインズ・ネットワークが運営する「事務所移転.com」では、施工事例や移転スケジュールなどを公開しています。自社条件に合わせたご相談や見積もり依頼が無料で可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

https://jimusho-iten.com/

事務所移転コラム編集部
この記事を書いた人

事務所移転コラム編集部

東京を中心にオフィス移転、事務所移転事業を展開する事務所移転.comのコラム編集部です。最新のトレンドや、役に立つ情報を中心に、幅広い情報をお届けします!

関連記事

お見積もり依頼・
お問い合わせはこちらから

関東エリア、関西エリア、九州エリアをはじめ
全国対応いたします。
お見積もりは無料です。ご質問・ご相談もお気軽に!
移転のことなら何でもお任せください!

0120-816-935

受付時間 9:00〜18:00(土日祝除く)

ページトップに戻る

0120-816-935 電話する

受付時間 9:00〜18:00(土日祝除く)