集中ブースをオフィスに導入するには? 選び方やレイアウト、移転・事務所移転時のポイントも解説

働き方の多様化が進み、フリーアドレスやABWを取り入れる企業が増えています。これに伴い、周囲の視線や音を遮り、落ち着いて作業できる「集中ブース」への関心が高まっています。Web会議の増加や情報漏えい対策の必要性もあり、適切な環境づくりは欠かせません。

本記事では、集中ブースの種類や選び方、法令面の注意点まで幅広く紹介します。集中ブースの導入を検討中の方は、ぜひ参考になさってください。

オフィスにおける集中ブースの重要性

集中ブースとは、周囲の視線や音を遮り、一人で業務に集中できるよう設計された個室型のワークスペースです。床・壁・天井を囲った個室タイプから、部分的にオープンな半個室タイプまで、用途に応じた種類があります。

周囲の雑談やWeb会議の声が気になりにくく、業務に没頭しやすいのが特徴です。一人用が主流ですが、複数名で利用できるモデルも登場しています。オープンオフィスでは話し声が響きやすく、席の位置によって見られている感覚が生じることもあります。集中ブースはこうした課題を補い、生産性向上に寄与すると期待されています。

ニーズが高まっている背景

集中ブースの需要が高まっている理由の一つが、フリーアドレスやABWの普及です。固定席がない環境では、個人が最大限のパフォーマンスを発揮できる場所を確保することが重要になります。

またWeb会議やオンライン商談が増えたことで、周囲に配慮しながら落ち着いて話せるスペースへのニーズも増えました。情報漏えいリスクや背景音に関するトラブルを避けたい企業にとっても、集中ブースは有効な選択肢です。

さらにオフィスワーカーを対象とした調査でも、集中できる環境を求める声が増えています。ハイブリッドワークが定着する中、利用者が自由に選べる作業場所の整備が求められているといえます。

集中ブースの種類と特徴

集中ブースは、大きく「フルクローズ型」と「セミクローズ型」の2種類に分けられます。遮音性を重視するか、開放感を重視するかによって選択が変わります。用途や作業内容に応じて適したタイプを検討することが大切です。

フルクローズ型(プライベート型/ボックス型)

フルクローズ型は、床・壁・天井の全てを囲った完全個室の集中ブースです。外部の音を抑え、内部の声も外に漏れにくいため、Web会議や集中作業に適した構造です。吸音素材を使った壁面や、間接照明を取り入れた設計により、長時間でも快適に利用できます。

換気や空調を備えたモデルも多く、閉塞感を軽減する工夫が施されています。ガラスパネルを採用し、視界を確保しながら圧迫感を抑える製品もあるのが一般的です。耐震試験や消火試験をクリアしたモデルも増えており、安全性に配慮した製品が選べます。機密性の高い会議や面談にも使える汎用性の高いタイプです。

セミクローズ型(セミプライベート型/パーテーション型)

セミクローズ型は、天井や扉がない半個室構造の集中ブースです。壁やパネルで周囲の視線を遮り、適度なプライバシーを確保できます。遮音性はフルクローズ型より控えめですが、開放感があり、長時間でも圧迫感が生じにくい点が特徴です。

資料作成や一人で進めたい作業など、集中しつつ周囲と緩やかにつながりたい場面に向いています。パーテーションや一体型デスクで構成されるため、レイアウト変更にも柔軟に対応できます。

オフィス全体の雰囲気になじみやすく、ABW空間とも組み合わせやすい形状です。建築工事を伴わないケースが多く、消防法や建築基準法の対象外となる場合が多い点も導入しやすさの一因です。フットプリントが小さく、低コストで設置しやすいことから、初期導入にも適したタイプといえます。

その他の集中ブースのタイプ

主要な2種類に加えて、補助的に活用できる集中ブースも存在します。ソファ型はパネルで囲んだ柔らかい座面が特徴で、リラックスしながらアイデアを出したい場面に向いています。

ただしテーブルが小さい場合が多く、紙資料を使う事務作業には向かない傾向がある点に注意しましょう。パネルタイプは左右をパネルで囲うだけのシンプルな形で、最小限のスペースで設置が可能です。視線を遮り集中しやすい一方、背後からの視線に対策が必要なケースがあります。

卓上パネル型は既存のデスクに置くだけで環境を整えられ、費用を抑えたい場面や短期導入に適しています。社内でトライアルしたいときにも使いやすい方法です。用途や目的に応じて、こうした補助タイプを組み合わせることで、より柔軟なオフィス環境がつくれます。

集中ブース導入のメリット

集中ブースの導入は、働きやすさの向上や生産性向上への寄与が期待されています。以下でメリットを詳しく見ていきましょう。

個人の集中力向上と生産性アップ

集中ブースは視線や音、周囲の動きを遮断し、業務に没頭しやすい環境をつくります。雑談や通話の音から離れられるため、集中力が維持しやすく、作業効率が高まりやすい点が特長です。

実際の利用者からは「短時間でも作業が進むようになった」という声も聞かれます。また認知科学の観点でも、余計な刺激を遮断することでタスク切り替えにかかる負荷が減り、生産性向上につながる傾向が指摘されています。

ABW環境では集中ゾーンとして機能するため、業務内容に応じて場所を選べるのもメリットです。こうした背景から、個人のパフォーマンス向上に寄与すると考えられています。

Web会議・オンライン商談の円滑化と会議室不足の解消

Web会議が増える中、周囲へ配慮しながら話せる場所の確保は重要です。フルクローズ型の集中ブースなら声が外に漏れにくく、会議内容を周囲に聞かれにくい構造です。複数台を導入することで、会議室が埋まりやすい課題の緩和にもつながります。

オンライン商談や録画を前提とした会議が増える中、音環境の安定は企業にとって大きなメリットです。会議室を予約する手間や、利用待ちが生じにくい点も利便性を高めます。製品ごとに性能差はありますが、適切なタイプを選べば、Web会議の質向上と運用負荷の軽減の両方に寄与すると期待できます。

フリーアドレス環境下でのセキュリティ確保

フリーアドレスは柔軟な働き方を実現できる一方で、情報管理の面では注意が必要です。隣席や背後から画面が見えてしまうショルダーハッキングのリスクがあり、部署外の社員や来訪者に内容が見られる可能性もあります。

特に機密資料を扱う業務や、画面共有を行うWeb会議では、情報漏えいの不安が生じやすい環境です。集中ブースは背後の視線を遮り、落ち着いて作業できる点が大きなメリットです。

また画面や音声が外部に届きにくいため、会議内容の漏えいリスクも抑えられます。情報管理やコンプライアンス強化の観点でも有効で、可動式ブースなら場所を選ばず一時的な機密作業にも使えます。こうした特徴から、フリーアドレス環境におけるセキュリティ向上に寄与する施策として注目されているのです。

感染症対策としての有効性

集中ブースは感染症対策の面でも一定の効果が期待されています。一人または少人数で利用するため、周囲との接触を減らしやすく、パネルや壁が飛沫を遮断します。

またオフィス内の密集を避けられる点もメリットです。換気機能を備えたブースであれば、空気の滞留を抑え、衛生面での安心感が得られます。コロナ禍以降、企業では衛生管理の基準が高まり、個別空間への需要も増えました。

セミクローズ型でも、パネルの高さや配置を工夫すれば飛沫防止が期待できます。こうした要素から、集中ブースは飛沫リスクの軽減と密集回避に役立つ設備として導入が進んでいます。

集中ブースをスムーズに導入するための5つのポイントと注意点

ここからは、集中ブースを導入する際に押さえておきたいポイントと注意点を解説します。

導入台数・席数の検討

自社に最適な集中ブースの席数を決めるには、従業員数や働き方、業種、出社率など複数の要素を踏まえて判断する必要があります。一般的な目安としては、従業員10名当たりフルクローズ型1席、セミクローズ型2〜3席が参考になります。

ただし、企業規模や働き方によって適正数は変動します。席数が不足すると「使いたいときに使えない」といったストレスが生まれ、逆効果となるため注意が必要です。

社員へのヒアリングや利用状況の調査を行い、ニーズを把握した上で検討するとよいでしょう。利用状況に応じて追加増設できる柔軟性もあると運用しやすくなります。ABW環境では集中ゾーンの比率を高める企業も増えており、働き方に合わせた席数調整が求められます。

製品選定時の検討事項(遮音性、空調、価格)

集中ブースを選ぶ際は、種類や特徴だけでなく、遮音性能、換気・空調、設備、価格を総合的に比較することが大切です。特にWeb会議を前提とする場合は、防音性や遮音性の高さが快適さに直結します。フルクローズ型は密閉度が高いため、室内の暑さを抑えるための空調設備や送風機能が欠かせません。

また吸音材の種類によっても室内の反響や静けさが変わるため、体感との相性を確認すると安心です。照明の明るさやUSB電源などの付属設備も、日々の使いやすさを左右します。また耐震性や消火性など安全面も確認しておきたい要素です。予算とのバランスを見ながら、必要な性能を備えた適切な価格帯の製品を選ぶことがポイントです。

法令遵守:建築基準法・消防法への対応(フルクローズ型)

天井まで覆われたフルクローズ型の集中ブースは、設置状況によって居室扱いとなる可能性があり、建築基準法や消防法の規制を受けるケースがあります。換気量の確保や防火性能の基準を満たす必要がある他「基準の特例等適用申請」や「防火対象物使用開始届」を提出する場合もあります。

こうした手続きは自治体ごとに判断が異なるため、管轄の消防署やビル管理会社へ事前に相談することが重要です。

また法令に適合しないまま設置すると、使用停止などの指導を受ける可能性もあるため注意が必要です。集中ブースのメーカーや施工会社が書類作成や調査をサポートしてくれるケースもあり、導入前に確認しておくとスムーズでしょう。

適切なレイアウトと設置場所の選定

集中ブースの効果を引き出すには、周囲の環境と動線を踏まえたレイアウトが重要です。基本は、騒音が届きにくい静かなエリアに配置し、出入口付近や人の往来が多い場所は避けることが望ましいとされています。またオフィス中央など視線が集まりやすい位置も落ち着いて利用しづらいため、配置には注意が必要です。

窓際であればカウンター型・ソファ型と相性がよく、集中と休憩の切り替えがしやすい点もメリットです。さらに、避難経路や共用部と干渉しない位置に設置するなど、安全面の配慮も欠かせません。ABW環境では「集中ゾーン」「静音ゾーン」としてまとめて配置する企業も増えており、周囲の照度や色調も集中しやすさに影響します。

効果的な運用ルールの策定と浸透

導入後の運用ルールは、集中ブースの価値を左右する重要な要素です。公平性を保つための予約・利用時間の管理、緊急時以外は話しかけない「集中優先ルール」、飲食や通話の可否などは明確に定めておく必要があります。また通話可能ブースと通話不可ブースを分けることで、利用者のストレスを減らせます。

ルールは文書化し、サイネージや掲示を活用して共有すると定着しやすくなるでしょう。運用負荷を下げるため、予約システムや座席管理ツールを導入する方法も効果的です。さらに、利用状況を見ながら定期的にルールを見直すことで、過度な制限にならず、利用者が快適に働ける環境を維持できます。

オフィス移転・事務所移転と集中ブース導入のタイミング

集中ブースを導入する最適なタイミングとして多いのが、オフィス移転やレイアウト変更の時期です。移転や改装のタイミングは空間計画を一から組み直せるため、導入場所や電源位置、動線計画まで一括で最適化しやすい点がメリットです。フルクローズ型の場合は、設置スペース確保や法令に関する申請が必要ですが、移転時ならこれらを計画に組み込みやすくなります。

セミクローズ型は周囲のデザインと調和させやすいため、新オフィスのコンセプトに合わせて導入しやすい点も魅力です。ABW化や固定席の縮小でスペースが空いた際にも導入しやすく、働き方改革と相性が良いタイミングといえます。

まとめ

集中ブースは、周囲の視線や音を遮断し、集中しやすい個別空間を確保できる設備です。フリーアドレスやABWの普及、Web会議の増加により、企業での需要は年々高まっています。

導入により、生産性向上や会議室不足の解消、セキュリティ確保など、幅広いメリットが期待できます。一方で、選定・設置・法令対応・運用ルールなど検討すべきポイントも多く、計画的な導入が重要です。

またオフィス移転と組み合わせることで、レイアウト設計や導入位置の最適化がしやすく、効果的な集中環境が整います。

株式会社ブレインズ・ネットワークが運営する「事務所移転.com」では、移転計画から集中ブース導入まで一貫してサポートしています。自社に合った空間づくりを進めたい方は、お気軽にお問い合わせください。施工事例やスケジュールの例はWebサイトでご覧いただけます。

事務所移転コラム編集部
この記事を書いた人

事務所移転コラム編集部

東京を中心にオフィス移転、事務所移転事業を展開する事務所移転.comのコラム編集部です。最新のトレンドや、役に立つ情報を中心に、幅広い情報をお届けします!

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